アジア不動産情報センター ARIC > その他のコラム > 【セミナー参加レポート】パナマ文書で大注目!~「海外を利用した相続対策」は本当に有効なのか?~
富裕層であれば、一度は頭をよぎるという「海外を利用した運用や相続対策」
では本当にそれは有効なのか?
会計士税理士である金井義家先生がプロの立場からわかりやすく解説してくれました。
また、タイトルに惹かれて参加したセミナーでしたが、
『富裕層が海外へ関心を持たざるを得ない理由』
『日本のタックスヘイブン対策税制』
『1000兆円以上の借金があるのに日本が破たんしない理由』
など、多くの情報を得ることができました。
そもそも富裕層が海外での資産運用を考える理由には、「日本は資産を守ることが困難な国になってきているから」という背景があります。
企業経営、不動産、金融商品、いずれの投資も運用益を上げることは難しくなっており、相続税、法人税、所得税、いずれも日本の税率は他国に比べて高く、富裕層にとって不利な環境であることが一因です。
また近年では、様々な税制改正が行われ、どの法改正も「租税回避行為を防止するため」という方向性が透けて見えます。
その辺りの理由を、金井先生が「夫婦」に例えて分かりやすく説明されています。
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平成28年度の一般会計歳入予算の内訳。
公債金 約34兆円(35.6%)
所得税 約17兆円(18.6%)
消費税 約17兆円(17.8%)
法人税 約12兆円(12.6%)
・・・
合計 約96兆円で、収入の3分の1以上が借金。
この状況にある日本国を「浪費癖のある奥様」とします。
奥様の年収は620万円、毎年340万円の借金をしており、借金の累計は1億を超えています。にもかかわらず、金融機関はなぜか「お金を借りてくれ」と奥様のところにやってきます。
その理由は、連帯保証人の旦那さんがいるからなのです。
旦那さんの年収は1億円以上、総資産は10億円を超えています。
奥様の借金は1億円ですから、まだチャラにできますね。
だからどんどん金融機関が「もっと借りてくれ」と頼んでくるんですね。
では、奥様が日本国だとすると、旦那さんは誰でしょうか?
答えは、その旦那さんとは「日本国民」です。
旦那さんの総資産とは、「日本国民がもつ預金」のことなのです。
今の日本は、家庭内で借金をしているような状況。
ですから、1000兆円以上の借金があっても破たんしないのです。
そして、問題の「浪費癖のある奥様」とは「日本政府」のことです。
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日本政府が「資産家が海外に出るのを阻止しようとしている状況」は、「政府(浪費癖のある奥様)が、資産家(旦那)がほかの女(海外)に走るのを阻止しようとしている状況である」ということなのだそうです。
一方で、セミナータイトルにある『パナマ文書』。
こちらについてはニュースでも取り上げられていましたので、多くの方がご存知かと思いますが、パナマ文書は、パナマの法律事務所・モサック フォンセカ(Mossack Fonseca)によって作成された、タックスヘイブン(租税回避地)の取引に関する一連の機密文書のことです。
その機密文書が流出したことで、租税回避行為を行っている可能性のある資産家・事業家・投資家など、富裕層の情報が明るみになりました。
そもそも、大前提として、「全世界所得課税」という制度によって、日本に住んでいる人は、海外で得られた所得であっても日本の高い所得税が課され、納税しなければいけません。
本来であれば、タックスヘイブンでいくら稼いでも日本で納税しなければいけませんから、タックスヘイブンにお金を持っていくだけでは、個人は豊かになれません。
つまり、タックスヘイブンで稼いだ利益の一部が、意図的に申告漏れになっているのではないか、脱税行為が行われているのではないか、と勘ぐられているというのがこのニュースの焦点です。
いまごろ国税庁は、このパナマ文書に載っている富裕層リストに対して順々に税務調査を行っているはずです。
そう考えると、海外を利用した資産運用は本当に効果的なのか、ということが疑問に思えてきます。
そして現実は、日本に住みながら海外で資産運用した場合と比較しても、結局税金面では変わりないか、むしろ不利になるかのどちらか。
ただ、それでも海外は運用先として魅力的な部分もたくさんあります、それと同時に数多のブローカーが存在する世界でもあります。
ブローカーの言うことを鵜呑みにせず、必ずブローカーから独立した専門家に確認することが大切である、と金井先生は仰っていました。
平成29年3月21日、大手町ファーストスクエアカンファレンスイーストタワーにて。
●講師:金井義家先生の略歴
株式会社K’sプライベートコンサルティング代表取締役、金井公認会計士・税理士事務所代表、公認会計士・税理士・中小企業診断士。
早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、北海道拓殖銀行・東京都庁・新日本監査法人・税理士法人タクトコンサルティングを経て、株式会社K’sプライベートコンサルティングを設立。
ASEAN不動産研究所(あせあんふどうさんけんきゅうしょ)
ASEAN不動産研究所は将来成長していくASEANの不動産市場を調査し、
より公平で中立的な立場で情報発信する小さな研究所です。
日本の未来と密接に絡んでくるASEANというエリアを紐解き、
ASEANの不動産市場の透明化・健全化を目指し、
多くの方にASEANの素晴らしさを共有していきたいと思っています。
そして、日本とASEANを繋ぐ一助になれば、と思って立ち上げました。
ぜひASEAN不動産研究所の今後にご期待ください。
ASEAN不動産研究所 所長 田中 圭介
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